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2025.06.16

分子標的薬と漢方の併用療法

分子標的薬と漢方を組み合わせる“やさしい治療”という選択肢

がんと診断され、特にステージ4と聞いたとき、多くの方が「もう治らないのでは」「副作用がつらいのでは」と大きな不安を感じられます。治療を始めてみると、たしかに薬が効いていても、「体力がもたない」「気力が続かない」と感じることもあるかもしれません。

そんなときに「漢方薬を取り入れてみたい」と思う方が多くいらっしゃいます。
でも、「分子標的薬などの最新のがん治療と漢方薬は、一緒に使えるのか?」といった疑問もあるかと思います。
そこで、“からだ全体を支える漢方”と“がん細胞を狙い撃つ分子標的薬”を組み合わせる統合的な治療について簡単にまとめました。

分子標的薬は「がん細胞の弱点を狙う薬」

分子標的薬は、がん細胞だけが持っている「特定の異常(遺伝子変異)」を標的にして作用する薬です。従来の抗がん剤に比べて、正常な細胞への影響が少なく、副作用が抑えられる場合もあるとされています。

ですが、すべての方に副作用が出ないわけではなく、下痢・皮膚のトラブル・だるさなど、さまざまな症状に悩まされることもあります。また、治療が長期にわたるほど、体力や気力が落ちていくのを感じることもあるでしょう。

漢方のチカラ

漢方は「病気そのもの」ではなく、「病気とたたかっている人の体質や全体のバランス」を見て治療するアプローチです。

たとえば、

がん治療中の症状や体調に合わせて処方が選ばれます。漢方はからだ全体のバランスを整えるため、“治療の土台”を作る役割を果たすのです。

併用はできる?――医師と相談のうえで安全に

基本的に、分子標的薬と漢方薬の併用は可能です。実際、多くの医療機関で「統合医療(西洋医学と東洋医学を組み合わせた医療)」として取り入れられています。

ただし、注意すべき点もあります。

したがって、必ず医師と相談しながら、体質や治療内容に合った漢方を選ぶことが大切です。専門の医師や薬剤師がチームでサポートしてくれるクリニックもありますので、安心してご相談ください。

「今のあなたに合った治療」を考える時代へ

がん治療は、「がんを小さくすること」だけが目的ではありません。日常生活をなるべく穏やかに保つことその人らしく過ごせる時間をつくることも、同じくらい大切です。

分子標的薬と漢方の組み合わせは、がん治療を“続けていく力”を支える手段になるかもしれません。

「つらい副作用に悩んでいる」「体力が持たない」「少しでも楽に過ごしたい」
そんな思いを感じている方にこそ、統合的な治療アプローチは希望の一歩になるはずです。

どうか一人で抱えず、あなたの体と心に合った方法を一緒に見つけてください。