―体力を支える漢方薬のちからとは?
治療への不安や心身の疲れが一気に押し寄せてくる方は少なくありません。
がんそのものに対する恐怖だけでなく、治療の副作用や体力の低下、食欲不振、眠れない夜……。
それらすべてが、日常を奪ってしまうこともあります。
でも、そんな中で「少しでも楽に過ごせる方法」として、毎日をそっと支える「漢方薬」があります。
漢方薬について
漢方薬とは、自然の植物や鉱物などから作られた、からだ全体のバランスを整える薬です。
現代医学のように「症状に直接作用する」薬とは違い、“からだが本来持っている回復する力”を高めてくれるのが特徴です。
がん治療のように長期にわたる治療では、薬の副作用や心身の疲労が積み重なっていきます。
そこで、漢方薬が「体力を補い、免疫力を支え、気持ちを落ち着かせる」手助けとなることがあります。
こんなときに漢方薬が使われています
- 体力や気力の低下(「気虚(ききょ)」と呼ばれる状態)
- 食欲がわかない、吐き気が続く
- 便秘や下痢、胃のむかつきなどの消化器の不調
- 眠れない、気分が落ち込む、涙もろくなる
- 手足の冷えやしびれ(抗がん剤の副作用)
緩和ケアとしての漢方の役割
ステージ4のがんでは、「治すこと」だけでなく、「自分らしく穏やかに過ごすこと(Well Being)」も大切な目標になり、漢方薬は生活の質(QOL)を保つサポート役として活躍します。
たとえば、痛み止めの副作用で食欲がなくなったときや、夜眠れず気持ちがふさぎ込んでしまうとき。
医師と相談しながら漢方を取り入れることで、「少し楽になった」「ごはんが食べられるようになった」という声も多くあります。
漢方薬は「自己判断」で使わないで
市販の漢方薬もありますが、持病や治療内容によっては合わない漢方薬もあるため、必ず医師や漢方に詳しい専門家と相談してから使うようにしてください。
また、補完療法として漢方薬を取り入れる場合でも、「治療をやめて漢方だけにする」ような選択は避けてください。
漢方はあくまで「支える医療」。がんそのものを攻撃する治療と組み合わせて使うことで、本来の力を発揮します。
今できること
つらさや不安があるとき、「少しでも楽に過ごせる方法」を知っていることは、大きな安心につながります。
漢方薬はその一つの選択肢。
焦らず、無理せず、あなたの今に合ったケアを一緒に探していきましょう。