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2025.07.16

眠ることも、治療のひとつ

睡眠とメンタルケア ~がんと向き合うココロとカラダを整える~

「これからの治療にどう向き合うか」と同時に、「夜、うまく眠れなくなった」、「頭がずっと働いてしまう」
こういった声をよく耳にします。

実は、睡眠は単なる“休息”ではなく、心と体の治癒力を回復させる“チカラ”でもあります。

がん治療と睡眠は、深くつながっています

私たちの体には、日々の疲れやストレスを回復させる仕組みが備わっています。その中で中心的な働きをしているのが、睡眠中に分泌されるホルモンや免疫細胞の働きです。
つまり、良質な睡眠は、がんと闘う“カラダのチカラ”を引き出す役割を担っています。

でも、眠れないのは「当たり前」のこと

がんと診断された後は、眠れない夜が続いても不思議ではありません。

「病気への不安や恐怖」
「将来への漠然とした心配」
「痛みや副作用」
これらは、誰でも感じる自然な反応です。「眠れない自分はダメなんだ」と責めないことが大切です。
まずは「眠れないこと自体が、今の自分の正直な状態」だと受け止めてみてください。

少しでも眠りやすくするための工夫

日々の生活の中で、眠りをサポートする小さな工夫があります。
・寝る2時間前からスマートフォンやテレビを控える
・カフェインは夕方以降は控える
・寝室の照明はやわらかく、温かみのある色にする
・音楽や深呼吸でリラックスする時間をつくる
・毎日決まった時間に布団に入る習慣をつける

さらに、軽い漢方薬やサプリメントの併用も、医師と相談しながら取り入れることも検討されるとよいでしょう。

当院でも、漢方外来で睡眠を支える処方をご提案しています。

メンタルケアは、眠りの質にもつながる

睡眠と心は密接に関係しています。
緊張や不安を抱えたままでは、眠りが浅くなったり、途中で何度も目が覚めたりしてしまいます。
当院では、がんに向き合う気持ちの整理をサポートする「心理ケア」も大切にしています。

・誰かに話すことで気持ちが少し軽くなる
・「自分だけじゃない」と思えることで安心できる
・「今、何を大切にしたいか」が見えてくる
そのような経験が、自然な眠りにつながる土台になり、睡眠の質につながっていきます。

睡眠=心と体を取り戻す「静かな治療」

睡眠はただの休息ではなく、「体を守り、回復させる時間」です。
どのような場面でも、心と体のバランスを整えることで、痛みや不安をやわらげ、日々の過ごし方が変わっていくことがあります。

「眠れない夜があっても大丈夫」
「今日できる小さな工夫から、回復のきっかけは始まる」

あなたの今の状態に合ったサポートを、私たちは一緒に考えていきます。