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2025.09.01

睡眠障害に有効な漢方

睡眠障害における漢方治療の有用性

生きていくために欠かせない「睡眠」。
十分な睡眠は心身の回復に直結し、免疫力やホルモンバランスを整える大切な役割を果たしています。しかし、現代社会ではストレス、生活リズムの乱れ、加齢、病気などさまざまな要因により、
・「眠れない」
・「途中で目が覚める」
・「ぐっすり眠れた感じがしない」
といった睡眠障害に悩む方が急増しています。
厚生労働省の調査によれば、日本人の約5人に1人が睡眠に問題を抱えているとされ、決して特別な悩みではありません。

睡眠障害の治療法としては、一般的に「医薬品」が選択されることが多いのですが、薬の副作用や依存性を懸念する声も少なくありません。
そこで近年、注目されているのが「漢方治療」です。漢方は長い歴史の中で人々の体質や症状に合わせて発展してきた医学であり、睡眠障害に対しても多様なアプローチを可能にします。

睡眠障害と漢方、そして西洋医学との違い

西洋医学では「不眠症」という診断のもと、不安やストレス、ホルモン分泌などを背景に医薬品を用いて「眠れる状態を作る」ことが中心です。

つまり、一般的な西洋医学での不眠治療は、睡眠導入剤や抗不安薬などの薬を使うことが中心です。これらは即効性があり、多くの方に効果がありますが、一方で「長期服用による依存のリスク」「翌朝の眠気やふらつき」「記憶力や注意力への影響」といった課題も指摘されています。

一方、漢方医学では「なぜ眠れないのか」を体質や全身のバランスの乱れとして捉えます。

「症状そのもの」よりも「症状を引き起こしている体質や背景」に目を向けます。例えば「寝つきが悪い人」といっても、その原因は人によってさまざまです。ストレスで頭が冴えて眠れない人、冷え性で夜中に目が覚めてしまう人、胃腸が弱くて体がだるく眠りが浅い人…。こうした個人差に応じて、漢方ではオーダーメイドの治療を行います。

たとえば、同じ「眠れない」という症状でも、

など、原因を細かく分類し、その根本改善を目指します。
これは単に「眠気を強制する」のではなく、「眠れる体へと整える」ことが目的であることが特徴です。

睡眠薬との比較 ーなぜ漢方が必要なのかー

睡眠薬は即効性があり、「とにかく眠りたい」という切実な状況では有効です。しかし、長期的に使用すると次のような課題も指摘されています。

こうした問題を避けたい方にとって、漢方は副作用が比較的少なく、体質や年齢に合わせた調整が可能である点が大きな特徴です。
また、漢方は「不眠そのもの」だけでなく、「不眠を引き起こしている背景」にアプローチできる点がとても重要です。

たとえば、更年期障害、不安障害、胃腸虚弱、冷え性、動悸といった症状が同時に改善されることも少なくありません。
つまり漢方は、「眠れるようになること」だけでなく「眠れる体をつくること」に重点を置いているため、必要性が高まっているのです。

漢方治療の認知度

一方で、漢方という名前はモナさんご存じでも、その細かな認知度はまだ十分でないと考えます。日本は世界的にも珍しく、西洋医学と漢方医学の両方が保険診療に含まれる国ですが、「睡眠障害に漢方が効く」という事実を知っている人は少ないのではないでしょうか。

実際、病院に行けばまず医薬品が処方されることが一般的であり、患者さん自身も「不眠=薬」というイメージを持ちやすい傾向にあります。そのため、漢方が有効な選択肢であることを知っている人は、とても限定的で、必要性に比べて認知度が追いついていないのが現状と感じます。

また、漢方には「効くまでに時間がかかる」「面倒」といった誤解もあります。
近年の漢方はエキス製剤の普及により服用も容易になっており、実際には数週間で効果を実感できる方も多くいます。こうした正しい情報を広めることが、認知度向上の大きな課題と考えています。

睡眠障害と向き合うために

睡眠障害は心身の健康に大きな影響を与えるにもかかわらず、「仕方がない」と放置されることも少なくありません。また、睡眠障害そのものに気づかずに過ごしている方々もたくさんいます。
でも実は、質の良い睡眠はがん予防や生活習慣病の改善、メンタルヘルスの安定にもつながります。
だから、治療を後回しにすべきではない症状なのです。

漢方は、「眠れない」という一見シンプルな症状を、体全体のバランスの乱れとして捉え直し、自然に近い方法で改善していく手段です。薬に頼らず眠りたい方、副作用を避けたい方、原因不明の不眠に悩む方にとって、漢方治療はまさに必要性の高い選択肢と言えるでしょう。

当院では「眠れないこと」を我慢せず、「自然に眠れる体を取り戻す」人が一人でも増えることを目標に誠心誠意サポートします。